褒めるのが苦手な上司が知っておきたい「褒める・おだてる・ねぎらう」の違いとその使いかた

ぼくは褒めるのが苦手だから、メンバーのマネジメントが上手くできないのだろうか?

私は部下は褒めないことにしている。褒めて育てると、褒めないと仕事しなくなるからね!

組織のマネジメントでは、一見単純にみえる「褒める」という行為が課題になることが多くあります。

組織の活発なコミュケーションの中には、「褒める」フィードバックが多く含まれているものです。

苦手意識や個人的な価値観で「褒める」効用を失っているとしたら、もったいないかもしれません。


ここでは「褒める」という行為を理解するために、「褒める・おだてる・ねぎらう」という3つのアプローチを比較し、メンバーへの適切なフィードバックについて考えていただきたいと思います。

「褒める・おだてる・ねぎらう」の違いを正しく理解

まずは、「褒める・おだてる・ねぎらう」の3つの違いについて理解しましょう。

【褒める】

「褒める」とは、具体的な行動や成果に対して肯定的な評価を与えることです。

これは、内面的価値や努力を認めることになりますので、メンバーの自尊心を高める効果があります。

【おだてる】

「おだてる」とは、表面的な誉め言葉を使い、心からの感謝や評価とは無関係に機嫌を取ろうとする行為です。

本心とは裏腹な言葉がけは、自分が思っているよりも簡単に相手に見透かされてしまうものです。

【ねぎらう】

「ねぎらう」とは、困難な状況の中での頑張りや達成した結果を認識し、その努力を称賛することです。

相手の心に寄り添う行為だといえます。

3つのアプローチの違いを理解できると、メンバーへの声掛けやフィードバックの際に迷いが少なくなりそうです。

「褒める」の苦手感を乗り越える

褒めるのが苦手と感じてしまう人は、「褒める」と「おだてる」を混同しているからかもしれません。

「おだてる」ことは短期的な関係改善には効果があるかもしれませんが、長期的な信頼関係の構築には逆効果です。

本当に大切なことは、メンバーの努力や成果を認識し、適切に「褒める」ことです。

しかし、どうしても自然に「褒める」ことが得意ではない人もいるでしょう。

ここで「ねぎらう」の概念が役立ちます。

たとえば、プロジェクトの締め切りに向けて残業を続けるチームメンバーに対して、
「大変な中、よく頑張ってくれているね。君の努力がチームにとってどれだけ価値があるかわかっているよ」
と声をかけることは、ねぎらいの言葉かけですが、その人を褒めることに他なりません。

このように、「ねぎらう」ことを意識して繰り返すことで、自然と褒める力が養われます。

相手に合ったアプローチで「褒める」「ねぎらう」を実践

日常のコミュニケーションの中で、特に「褒める」「ねぎらう」を意識的に活用して、メンバーの個性に合ったフィードバック方法を見つけましょう。

最近の若者の中には「皆の前で褒められることを嫌がる」という傾向もあるようです。

そのような場合は、ねぎらいの言葉を中心に声掛けをすることで、お互いに気持ちの良いコミュケーションがとれるかもしれません。

また、どうしても面と向かって褒めることに抵抗がある人は、周囲の人との会話の中で「彼の(彼女の)このようなところを評価している」などと、話題を出すのも良いかもしれません。

遠回りではありますが、褒められている噂が本人の耳に入ることでも信頼関係は生まれます。

まとめ

「褒める・おだてる・ねぎらう」の違いを理解し、上手に活用することは、管理職にとって重要なスキルです。

「褒める」ことの本質と効果を理解し実践できるようになると、チームメンバーのモチベーションを高め、組織全体の生産性を向上させることにもつながるでしょう。

これは上司とメンバーの個人的な成長だけでなく、強固なチームを築くための基盤にもなりえます。