女性活躍推進への提言

2023年12月27日(水)の朝刊「経済教室」内の「私見卓見」欄に、宮原久美のオピニオンが採用・掲載されました。

女性活躍推進の具体的提案として「女性フォーラム」開催をお勧めした内容です。

女性活躍推進を目指す企業のみなさまに、是非ご一読いただきたいコラムです。

「女性活躍推進は当事者の参画を」

女性活躍推進の遅々とした歩み を鑑み、企業への情報公開の義務 化などがいよいよ厳しくなってい る。
このような中で、施策をいく つか試してはみたものの、女性活 躍推進の成果を感じられず取り組み自体が頓挫している企業も少な くない。

企業としても本心から女性の活躍を期待しているのに、なぜ頓挫したのか。
当事者であるはず女性が女性活躍推進の施策に参画している意識が薄いからかもしれない。
また経営側が他企業で行われた女性活躍推進の施策を、自社の特性に当てはめないまま取り入れた結果、当事者とに認識にズレが生じていることも考えられる。

例えば、女性活躍を目的にした企画やセミナーを行っても当事者の女性社員がしらけてしまった経験はないだろうか。
「今も手いっぱいなのに、これ以上何を活躍しろというのか」
「管理職を目指せと言われても皆がなれるわけでもない」
といった女性社員の本音をよく耳にする。
トップダウンで一方的に行われる女性活躍推進企画では、自分の業務や責任が増えることが想起されやすく、ネガティブな感情が引き起こりがちだ。

これからの女性活躍推進はトップダウンの意向に沿いつつ、当事者である女性社員にも主体的に参画してもらう施策を考えなければならない。
具体的には女性社員の集まる場として「女性フォーラム」を開催してはどうだろうか。

女性社員だけで集まる場をつくる利点は二つある。
ひとつは、女性社員がいつもの職場では発言しづらい意見や提案を安心安全な場で共有できることだ。
女性社員が働きやすい職場を考え意見を交わしたり、仕事の効率化・マーケティング案など「隠れていた意見・提案」が出る機会にもなる。

もうひとつは、女性社員の中には出産育児と仕事の両立を経験している人もいるため、同じ会社で働く女性社員のワークライフバラ ンスについて話を聞く機会につながることだ。
同じ会社にいる女性社員の交流が深まることは、会社へのエンゲージメントを高めることにもつながる。 

女性社員が当事者として参加している温まった場において、経営層が女性活躍への期待を伝える方が本意が伝わるかもしれない。

日本経済新聞2023.12.27「私見卓見」宮原久美