部下との信頼関係が築けない?それ、あなたの「ダブルバインド」が原因かも!

管理職としての日々は、部下との信頼関係を築くことで成り立っています。

しかし、その信頼を構築する過程で、無意識のうちに「ダブルバインド」というコミュニケーションの罠に陥っていることがあります。

この罠は、部下に対して矛盾するメッセージを送り、彼らの成長とチームの進歩を阻害してしまう可能性があります。

今回は、ダブルバインドが何であるか、それがどのように職場の関係性に悪影響を及ぼすのか、そしてそのジレンマをどう乗り越えて信頼関係を深めるかについて掘り下げていきます。

ダブルバインドとは?

「ダブルバインド」と聞いても、ピンと来ない方が多いかもしれません。

しかし、この心理学の概念は、意外と日常に潜んでいて、特に職場でのコミュニケーションにおいて大きな影響を及ぼします。

ダブルバインドとは?

ダブルバインドは、矛盾する二つのメッセージが同時に発され、受け手がどちらの要求にも応えることができず、応えないことにも問題がある、というジレンマに陥る状況を指します。

例えば、上司が「もっと自由に意見を出して」と言いつつ、実際に意見を言えば「でも、その案はちょっと…」と否定する。

このように、言葉と態度が矛盾することで、部下はどう行動すればいいかわからなくなります。

この概念は、1950年代にグレゴリー・ベイトソンらによって提唱されましたが、今日の職場環境においてもその有効性は変わりません。

ダブルバインドは、部下の混乱やストレスを引き起こし、結果的にチームのパフォーマンス低下につながる可能性があります。

ここでは、ダブルバインドの基本を理解し、特に上司部下のコミュニケーションにどのような影響を与えているかを探ります。

ダブルバインドの罠に陥りがちな上司の特徴

職場でありがちな「ダブルバインド」の例をあげてみましょう。

自主性をもって行動してもらいたい!

では、新しいプロジェクトを始めたいです!

そういうプロジェクトは求めてないんだよね・・

(発言しなければよかった・・)

このようなやり取りが頻繁にあると、職場のコミュニケーションや部下のモチベーションに悪影響を及ぼす原因となりえます。

このようなダブルバインドを引き起こす上司には、次のような共通の特徴が見られます。

1. 明確な期待値や目標を設けない

ダブルバインドを発する上司は、しばしば明確な期待値や目標を設定せず、部下が自分の期待を読み取ることを強いる傾向にあります。

明確な目標がない場合、上司はその場の状況と感情で発言がブレるため、部下は混乱し、どのように行動すれば良いかを理解できずにいます。

2. フィードバックとサポートの不足

部下の成長を支援するための建設的なフィードバックを提供することが少なく、適切なサポートや指導が少ないという特徴があります。

効果的なコミュニケーションを行う力量に欠け、自分の意図やメッセージを適切に伝えられないことも、ダブルバインドの一因となります。

指示を出した後に、コミュニケーションやフィードバックが不足したままでは、部下が自立して行動する際に必要な情報や確信を得ることができません。

3. 完璧主義またはリスク回避

失敗を許容せず、常に完璧を求める傾向があるため、新しいアイデアや試みに対して消極的です。

このような姿勢は、部下に「新しいことに挑戦しろ」と促しながら、同時にリスクを避けるよう求める矛盾したメッセージを送ることになります。

4. 独裁的な管理スタイル

独裁的な管理スタイルを持つ上司は、部下の意見や自立性を重んじない傾向があります。

このため、部下が自己決定を下す機会が少なく、上司の矛盾した要求に翻弄されることがあります。

ダブルバインドを克服したい管理職のための戦略

ダブルバインドを引き起こす行動を避け、ポジティブな職場環境を築くためには、管理職自身の意識改革と具体的なアクションが求められます。

目標と期待の明確化

明確な目標設定は、部下が求められていることを正確に理解するための基礎です。

目標が明確に共有できていれば、部下の行動が自分とは異なるプロセスを踏んでいても、頭から矛盾する指示をだすことはなくなるでしょう。

プロセスの些細な部分でマイクロマネジメントに陥らないように気をつけましょう。

開かれたコミュニケーションの促進

定期的なフィードバックの機会を設け、建設的な対話で奨励します。

部下が意見を自由に表現できる環境を整えることで、信頼関係を深め、誤解を防ぎます。

自律性の尊重とサポートの提供

部下に適度な自律性を与え、彼らの決定に対する信頼を示しましょう。

また、必要に応じてサポートや助言を提供することで、部下の自信と能力を育みます。

失敗を学習の機会として捉える

失敗を責めるのではなく、それを成長と学習の機会として捉える文化を促進します。

失敗から得られる教訓を共有し、同じ過ちを繰り返さないための戦略を一緒に考えましょう。

これらの戦略を通じて、無意識のダブルバインドに陥りがちな管理職は、自分自身と部下の両方にとってより良い職場環境をつくることができます。

自身の発言や態度に矛盾がないかを意識することで、チームリーダーとしての信頼を得ることができるでしょう。

まとめ

ダブルバインドは、職場でのコミュニケーションの罠となり得ますが、この問題を理解し、意識的に対処することで、管理職と部下の両方にとってより良い職場環境を創造することができます。

今回は、ダブルバインドの概念、それを引き起こす上司の特徴、そして具体的な回避策を探りました。

明確な目標設定、開かれたコミュニケーション、部下の自立を支えるサポートなどの戦略を通じて、ダブルバインドの罠を克服し、信頼と協力に満ちた職場を築いていきましょう。