女性活躍推進が進まない理由その2~「育成機会の不足」と「失敗が許されない企業の体質」
女性活躍を重視する声が高まっている中で、女性リーダー育成の機会は十分に整っているでしょうか?
もし、リーダー育成研修の機会がほとんどない状態で、昇進の打診をしたとしても、責任感の強い女性社員は「準備不足のまま昇進することは恐ろしい」と感じるかもしれません。
また、企業内で「失敗してもいいからまずはやってみよう」などというスローガンが掲げられている中で、実際にチャレンジした結果上手くいかなかった時に、何らかのペナルティが存在してはいないでしょうか?
今回は、女性活躍推進が進まない理由を、企業の取り組みと体質から考えてみます。
育成の機会が十分に用意されていますか?
多くの企業で行われているリーダーシップやマネジメント研修は、管理職などに昇進してからのものが主流です。
このアプローチでは、女性が管理職に昇進するまで、リーダーの役割を理解したりスキルを身につける機会がほとんどないといえるでしょう。
女性社員に管理職を目指してほしいという意図を伝えても、彼女たちの受け止めとしては、「将来直面する課題にたいして準備不足」という理由で昇進を拒むかもしれません。
女性社員がリーダーとしてのポテンシャルを発揮するためには、早期の自己理解の機会やリーダーシップ教育などを準備しておきたいところです。
また、多くの女性にみられる性格的な特徴についても、教育担当者は理解を深めておいた方が良いと思われます。
女性には「失敗したくない」という完璧主義的な性格がよく見受けられます。
このような性格がベースにある女性社員は、任せられた仕事に対して質の良い成果を出し高い評価を得ていることが多いはず。
しかし一方で、このような優秀な女性社員ほど、自身の経験知が乏しい仕事や準備不足を感じる役割を引き受けることに慎重になりがちです。
このような女性社員の性格を前提に考えると、女性活躍を期待するリーダーシップ研修には「早期からじっくり型」で企画をしてみることをお勧めします。
女性が活躍を躊躇する「失敗が許されない企業体質」
企業の潜在化した体質が女性活躍推進を阻んでいる可能性もあります。
一例として、「失敗」に対して目に見えないペナルティが存在する場合です。
企業としては若手や女性の活躍を期待して「失敗を恐れずにチャレンジしよう」というスローガンを掲げているかもしれません。
しかし、実際にはチャレンジに対して結果がでない場合、「失敗」と捉えてチェレンジャーに心理的なペナルティを課していることがありませんか?
このようなネガティブな感情や情報は社内ですぐに共有されるため、女性社員や若手社員は社内でのチャレンジに後ろ向きになってしまいます。
特に女性の性格として「自分の失敗は何としても避けたい」という性質が強いと先にもお伝えしました。
これは、自身の評価が「他人からの評価」に依存しがちな場合に顕著になります。
「昇進を受け入れて管理職にチャレンジしても、もし失敗したら責めを負うことになる」
失敗が許されない企業体質のなかでは、女性社員の心理的なハードルによって、能力を活かした昇進を促すことが難しいかもしれません。
チャレンジしやすい環境をつくるには?
では、このような状況を改善し、女性活躍を推進する具体策を挙げてみます。
チャレンジを促すスローガンの元では、次の3つのポイントを事前に明確に伝えておくことで、新たなチャレンジに取り組んでもらいやすくなるでしょう。
①「期待値」・・発揮してもらいたい能力と期待する成果のレベル感を伝える
②「フィードバックや評価方法」・・誰がどのようなタイミングでフィードバックを行うか、またその評価方法を事前に伝える
③「サポート体制」・・誰が(どの部署が)サポートするかについて伝える
失敗に対するハードルを下げるためにNTTで行われた施策もユニークです。
過去の失敗(しくじり)を社員の前で披露する「失敗カンファレンス」。
「失敗を恐れ、挑戦を避ける社内の空気を変えたい」という社長の思いから始まった企画とのこと。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2055F0Q3A121C2000000/
(日本経済新聞より)
硬直している組織を柔軟にするには、このくらいの斬新な取り組みを許容する企業文化を目指してもいいかもしれません。